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レビュー・レポート

【EVENT REPORT】『ROVO×SYSTEM7 / Phoenix Rising Live in Kyoto』

[2012/02/01] カテゴリ:音楽

【EVENT REPORT】『ROVO×SYSTEM7 / Phoenix Rising Live in Kyoto』

10月29日に、ROVOとSYSTEM7によるライブ『Phoenix Rising TOUR』が京都大学西部講堂にて行われ、会場は熱気に包まれ異様な盛り上がりを見せた。

西部講堂は、京都大学吉田キャンパス構内にあり、不定期で音楽イベントが開催されている厚生施設。1970年代には、大晦日に行われる『FUCK'70』隔週土曜日に行われる『MOJO WEST』など、多くのメジャーアーティストを輩出したイベントや、Frank Zappa and The Mothers of Inventionをはじめ、XTC、Talking Headsの来日公演が開催されるなど、ロックファンなら一度はその名前を聞いたことがあるに違いない。だが、果たして西部講堂とは一体どんな場所なのだろうか。
そこでQniccでは、この日のコラボレーションライブの模様をお伝えすると共に、その会場である西部講堂について、JOJO広重氏と、F.M.N.SoundFactoryの石橋正二郎氏に西部講堂について伺ってみた。

西部講堂には何度か出演したが、会場には基本的に照明や音響設備がなく、コンサート主催者以外に非常に協力的に技術提供していた業者があったはずで、その手腕にいつも感心してた。ステージ中音にも定評があり、ライブ演奏に戸惑った記憶はない。私と同世代の音楽企画団体「ビートクレイジー」主催のコンサートはとても評判がよく、大晦日の定例コンサートは人気があった。もちろん苦労もあっただろうが、主催者・スタッフ・会場・来場者が音楽という絆で結ばれていたことを実感できるいいイベントだった。
個人的には1977年の飢餓同盟、天地創造が出演したプログレッッシブロックのイベント、1978年のデレク・ベイリー初来日公演、1983年のスターリンと非常階段の合体バンド「スター階段」のライブが印象に残っている。スター階段のライブには私も出演し、ドロドロの液体をかぶったり、客席と汚物の投げ合い、最後は客席でもあった畳までが宙を舞っていたのを覚えている。このライブは来場者が1000人を超え、2000年のスラップ・ハッピー来日公演に記録を破られるまでの、西部講堂来場者レコードだった。 西部講堂のコンサートは基本的に利潤追求ではない、濃厚な音楽ファンによる手作りイベントがほとんどだろう。ロックの殿堂などという伝説的なおどし文句ではなく、あくまで自由意志による空間としての存在理由を維持していってほしい、そんな場所である。
JOJO広重
これから西部講堂に関わる人たちへ
82年から88年まで西部講堂に「住んで」90年頃まで運営に深く関わっていた人間からの、これから西部講堂に関わる全ての若い人たちへの、もしかしたら余計なお世話かもしれない言葉として読んでください。
西部講堂にあこがれるのは何故?そこでいろんな有名なバンドが出演していたから?ボロボロの講堂には自由な空気が満ちているから?ならば大間違いです。
西部講堂は京大西部講堂、あくまで京大の施設の一部です。しかし運営は西部講堂連絡協議会(西連協)が行っています。またその西連協は西部講堂を使う全ての団体個人によって構成されてます。西部講堂を使うためにはその管理運営に日常的に深く関わる覚悟がないと出来ません。
それってどういうことか分かりますか?西部講堂を「借りる」のではなく「自分の場所」として使うということです。それこそ西部講堂の本質なんです。
これって大変ですよ。「自分の場所」として全てに責任を持つ、このことは自分のやりたいことがどういうことなのか根本から考えないと出来ません。ホールやライヴ・ハウスでやればいろんなことをやってくれますよね、掃除や機材の管理、料金の徴収等々、その全てを自分でやらなければなりません。「音楽(演劇、映画全て)でお金を取って人に見てもらう」そのことがどういうことなのか考えざるを得ません。
それにいろんな考えを持つ人や団体と協議しないといけません。大げさに言えば「もう西部講堂はなくなってもいい」と思う人とも一緒にやらないといけないのです。いろんな考えを持つ人と共同で運営しながら「自分の場所」として隅から隅まで責任を持って使う、このとても困難な課題をクリアして皆何とか使っているのです。
もし西部講堂に「自由な」空気を感じるならば、そうした困難さを何年もクリアして皆が使った歴史があるからです。その時にその場所を使う人たちが「自分の場所」として使っていたからです。
大変さばかり強調してますが、でもやりがいはあると思います。他人の場所でやるのではなく自分の家でやるようなものですから。大変は大変だけど一度使えば多分他とは全く違う手応えみたいなモノをはっきり実感出来ると思います。自分のやりたいことが何なのか底から考えて、しかもそれを全て実現できる可能性もあります。
たいへんでしんどいことは何かやるときにはいつもつきまとうことです。ならばとことんまで出来る場所として西部講堂を選ぶのもいいのではないでしょうか。
F.M.N.SoundFactory 石橋正二郎
自由意志において行われる西部講堂でのイベントは、活動そのものという事のみが明確な目的となる。エンターテインメント産業にはどこかで必ず、利潤や興業的な実績等はつきまとうものだが、西部講堂はそれとは別の価値を生み出し続けてきた。それは我々の記憶の中で燦然と輝きを放ち続けるだろう。そして、それこそが芸術活動本来の最大の価値なのだ。
(テキスト:谷口千穂、レポート:吉本秀純)
ROVO×SYSTEM7_1.jpg 70年代の英国プログレッシヴ・ロックを牽引したスティーヴ・ヒレッジが黎明期のクラブ・ミュージックに触発されて90年に結成したSYSTEM7と、90年代後半の日本のオルタナティヴな音楽シーンで活躍していた凄腕ミュージシャンたちがテクノやトランスに対峙しうる生演奏グルーヴを追求すべく始動したROVO。国籍もキャリアも編成も異なるものの、いずれもプログレ~ジャズ・ロック的な音楽的背景と演奏スキルを持ちながらダンス・ミュージックにアプローチするという共通項を持ち、野外フェスなどに欠かせない存在として君臨してきた両雄が初の合同ツアーを実現。しかも、その初日の会場に選ばれたのが70年代から数多の伝説的なライブが繰り広げられてきた京大西部講堂とあって、空調設備のない場内はライブの開始前から真夏ほどではないにせよジワジワと高まる熱気と独特の緊張感に包まれていった。

まず先攻でステージに登場したROVOは、勝井のヴァイオリンが奏でる反復的なフレーズにジェンベのリズムなどを加えながら雄大な曲展開で圧倒する長尺の大曲「SUKHNA」でスタート。天井知らずでテンションとグルーヴを増しながら登り詰めていく演奏に合わせて、VJの迫田悠がステージ後方一面に惑星群の軌道図やピラミッドといったスペイシーな映像を次々と投影し、さっきまでレトロな趣だった場内をギャラクティックな異空間へと一変させていった。その後はサイケ・ロック色の強いノリをみせる新曲を経て、ツイン・ドラムがアッパーなビートを叩き出して祝祭感を高める「SINO+」へと流れ込み、往年のジャズ・ロックからドラムンベースやトライバル・トランス、ワールド・ミュージックまで飲み込んだROVOならでは音世界が縦横無尽に炸裂。最後は曲前半からトップギアを入れたような激しいリズムを伴いつつ、ヴァイオリンとシンセのユニゾンなどを挟んでさらに高いピーク・ポイントまでかけ上がる新曲で圧倒し、4楽章構成のMAN DRIVE TRANCE組曲とでも呼びたくなる濃密な1時間セットを一気に駆け抜けた。

SYSTEM7.jpg 続いてSYSTEM7の2人は、ほとんど間を空けずにステージに登場。数多のフォロワーたちを世界中に生み出してきたトリッピーかつトライバルな音で西部講堂をダンスフロアに塗り替え始めると、VJの迫田も同じくスペイシーでもROVOの時とはまた違った幾何学的なイメージを投影して場内のムードを一変させていった。やがて4つ打ちのビートに合わせてヒレッジがギターを弾き始め、アラブ音楽的なギター・リフなども挟みつつ徐々に自分たちのペースに持ち込んでいくと、場内はいつの間にかまだ午後7時前とは思えない(笑)野外レイヴ会場の深夜のようなディープな雰囲気に。後半に入ってヒレッジが前半よりも手数の多いギターを弾くようになると、山本精一がかつてブラボー小松と組んでいたGUITOOを思い出させるノリやROVOに通じるリフなども聞かせ、アプローチは違うがやはりSYSTEM7とROVOは兄弟のような関係にあることを示すような一面を垣間見せたのも興味深かった。1時間足らずの短いセットではあったが、時代の流れに合わせてプログレ、アンビエント、レイヴ・カルチャー、オリエンタルな音楽などを真摯に通過/吸収してきた彼らの豊かな年輪に裏打ちされたダンス・ミュージックは、クラブ色の強い音にも関わらず西部講堂という歴史ある場所に絶妙にフィットしていた。

ROVO×SYSTEM7_2.jpg そして、ステージ前方にはROVOの6人、後方にはSYSTEM7の2人が一堂に会しての第3部は、ステージいっぱいに映し出された手塚治虫の名作「火の鳥」の映像とともに、SYSTEM7がそれをテーマに発表した名曲「HINOTORI」から壮大にスタート。SYSTEM7が主導する前半から、リズムの主導権が打ち込みのリズムからROVOのツインドラムに移り、ステージ一面に羽を広げた火の鳥が鮮やかに映し出されるとともに場内の興奮と演奏のテンションが沸点に達すると、ヒレッジもギターを抱えて前方に出てきてROVOの面々に交じってプレイ。続いて勝井の叙情的なヴァイオリンから幕を開けたROVOの「ECLIPSE」では、レコーディング作品とはまた違ったアラビックなリズムを強調した展開なども挟みながら、後半には山本のギター・ソロに反応したヒレッジがお互いに向き合ってエモーショナルなギター・バトルに突入する合同セッションならではの光景も。一体感を高めた8人はそのまま、初期のGONGのジャケットを思わせるサイケデリックな映像とともに、勝井がGONGの40周年記念アルバム『2032』でゲスト参加した「PORTAL」へと流れ込み、ロックかつサイケな音の渦へと突入していった。アンコールでは、ダンサブルさはキープしつつもややクールダウンするようにSYSTEM7の「Love Mission - Mission Love」を取り上げ、まだまだ未開な両者のコラボの可能性を予兆的に示しつつ初の合同ライブは終了。

audience.jpg 日英の2大巨頭のファースト・コンタクトは、一度きりの伝説というよりも新たな大きな"はじまり"に立ち会ったかのような印象を残す濃厚な一夜となった。

ROVO×SYSTEM7 / Phoenix Rising Live in Kyoto

photobook.jpg
『ROVO×SYSTEM7 / Phoenix Rising Live in Kyoto』

1. HINOTORI (Phoenix Rising Live version) 21分27秒
2. ECLIPSE (Phoenix Rising Live version) 21分25秒
(収録時間:約43分)

iTunes Store, OTOTOY, techno.to にて配信発売中!
※購入者特典:PHOENIX RISING LIVE in KYOTO デジタルフォトブック
\1,200 / D-WKYDEP012 / WAKYO

2011年10月29日、京大西部講堂にて行われた「Phoenix Rising Tour」初日のハイライトを、LIVE作品として配信リリース中!
コラボアルバムでROVOがカヴァーしたSYSTEM7の代表曲「HINOTORI」を、ROVO×SYSTEM 7の合体メンバーによって演奏したロングトリップバージョンと、ROVOの代表曲「ECLIPSE」の同じく合体スペシャルバージョンを収録!
多幸感とポジティヴなエネルギーがあふれる、至福の43分!

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